ある地方自治体が給付金の送金を誤り、町内の1人の男性に4630万円を振り込んだところ、その男性が返金に応じていないことが報道されています。男性の弁護士は、男性が全額を海外のオンラインカジノで使い切ったと説明しているようです。
誤振込等で不当に得た金銭はギャンブルで使ってしまえば返還しなくてもよいのか、町田、相模原の弁護士が説明します。
(不当利得の返還義務)
民法703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼしたもの(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
誤振込をした場合、法律用語で「不当利得」(民法703条)といって、誤って振り込んだ現金の返還を請求することができます。しかし、原則として返してもらえるのは「利益の存する限度において」です。これを「現存利益」といい、誤振込を受けた人が、この現金をギャンブルや浪費で使ってしまい利益が残っていない場合は返還しなくてもよいのです。
なお、借金の返済や生活費に充てた場合は、借金の負担がなくなり、又は生活費の負担を免れたので利益が現存しているので、現金を返還しなければなりません。
このようにオンラインカジノのようなギャンブルで全額使ってしまえば、誤振込された現金を返さなくてよいとの結果になり、一般的な感覚からするととても納得できない結果になります。
(悪意の受益者の返還義務等)
民法704条
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
しかし、「悪意の受益者」は現存利益がない場合でも利得を返還しなければいけないと民法は定めています。ここで「悪意」とは一般的な意味の悪意ではなく、法律用語で「知っている」という意味です。つまり、誤振込を受けたと知っていて、海外オンラインカジノ等のギャンブルで使用してしまえば、たとえ現金が残っていなくても返還する義務があります。誤振込とわかっていながらギャンブルした者が救済されないのは一般的な感覚にも沿うものでしょう。
この「悪意」であることの立証責任は、不当利得を請求する側である町役場側にあるので、今後の民事裁判では、男性がオンラインカジノを行った時にすでに誤振込であると知っていたか否かが争点となるかもしれません。
令和4年5月20日
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