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破産管財人とは?

破産管財人とは、「破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者」(破産法2条12号)とされています。

破産者の財産を管理、処分してお金に替えて債権者に分配(配当)します。また、残った借金(債務)について破産者に免責を与えてよいか調査をします。なお、会社(法人)の破産手続では免責という概念はないので、免責は個人の破産手続でのみ問題になります。

なお、自己破産手続では原則として破産管財人が選任されますが(管財事件、少額管財ともいう)、例外的に破産者に財産が乏しい場合や浪費等がなく免責上の問題がない場合は破産管財人を選任しない同時廃止事件という簡易な手続きになります。

以下、破産管財人について町田、相模原の弁護士が解説します。

破産管財人は誰が選ばれるか。

勘違いしている方が多いのですが破産管財人は自分で選ぶことはできません。破産手続を依頼した弁護士はあくまで申立人である破産者の代理人であり、それとは別に裁判所が破産管財人を選任します。

破産管財人は、破産手続を申立てた地方裁判所の管轄地域に所属して、破産手続きに精通している弁護士の中から裁判所が選任します。

例えば地方裁判所での破産手続では、破産管財人は次の地域の弁護士の中から選任されます。

東京地方裁判所
(本庁)
東京都23区
東京地方裁判所
立川支部
東京都23区外(多摩地域)
※但し、東京都23区の弁護士選任もあります。
横浜地方裁判所
(本庁)
横浜市、藤沢市、大和市等
横浜地方裁判所
相模原支部
相模原市、座間市
横浜地方裁判所
川崎支部
川崎市
横浜地方裁判所
小田原支部
小田原市、秦野市、厚木市等

破産者は破産管財人の所属する法律事務所に打ち合わせのために行くことになるので、破産管財人の法律事務所の場所に強い関心がありますが、破産申立前の段階では東京23区や多摩地域、相模原市、川崎市等の大まかなエリアしか予想できません。

もっとも、弁護士事務所(法律事務所)は地方裁判所の近くにあることが多いので、地下鉄霞が関駅(東京地方裁判所)、JR立川駅・多摩都市モノレール高松駅(東京地裁立川支部)、JR相模原駅、矢部駅(横浜地裁相模原支部)、JR川崎駅、京急川崎駅(横浜地裁川崎支部)等の地方裁判所最寄り駅付近の法律事務所の可能性が比較的高いです。

ただし、東京地裁立川支部でも町田駅付近の弁護士が選任されたり、横浜地裁相模原支部でも相模大野駅付近の弁護士が選任されたりと裁判所からかなり離れた弁護士になることもよくあります。

破産管財人は何をするのか。

破産管財人の自己破産手続において次の職務を行います。

債権の確定
破産管財人は破産者の借金(債務額)を調査して、誰が債権者か、その金額はいくらかを確定します。もっとも、財産が乏しく配当しない案件では金額の確定は保留して終了します。
資産の管理、処分、回収
破産管財人は破産者の財産を管理、処分、回収して、その現金を債権者への配当の原資とします。具体的には、不動産、生命保険の解約返戻金、有価証券、自動車、売掛金等を売却・回収することになります。もっとも、不動産を担保にローンがあり、その残債務額が不動産評価額を大きく上回っていたり、生命保険の解約返戻金が20万円未満の比較的少額であったり、自動車の中古買取価格が20万円未満の少額であったり、減価償却の耐用年数が経過して価値が乏しい場合等は、売却・解約等をしません。
債権者への配当
破産管財人が集めた現金を債権者に配当します。もっとも、換価すべき財産が何もない場合や、あっても少額の場合は配当せずに破産手続が終了します。個人の破産手続では、債権者への配当がなされずに終了する案件が実際はかなりの割合を占めます。
借金の経緯・原因の調査(免責調査)
破産管財人は、破産者の借金の経緯・原因を調査して免責不許可事由があるか否か、仮に免責不許可事由がある場合は裁量免責相当かの意見を裁判所に出します。
特に破産者に、浪費や競馬・パチンコのギャンブル等の免責不許可事由と呼ばれる事由がある場合は、免責を与えるべきか否かは慎重な判断が必要となります。
郵便物の転送等の調査
破産手続開始決定から債権者集会までの間、破産者宛の郵便物は破産管財人宛てに転送され、破産管財人はそれを破産者の承諾なく開封して内容を確認することができます。郵便物から、債権者一覧表に載っていない債権者が判明することがありますし、また、破産者が申告した財産目録に記載のない財産が判明することもあります。

破産管財人といつ会うのか(管財人面接の時期)。

自己破産の申立てをすると、比較的早い時期に申立人(破産者)と破産管財人とが打ち合わせのために面接を行います(東京地方裁判所本庁では申立後1週間以内、他の裁判所では1~2月以内程度)。

その日程は破産者側の代理人弁護士と破産管財人が相談して決めるので、破産者の都合を考慮して日時を決めます。通常は破産管財人の弁護士事務所の営業時間内での面接を求められるので、平日の昼間に面談日時を設定することが多いです。もっとも仕事等で平日昼間に都合が付かなければ、平日夜間や土日祝日に面談日時を設定することもあります。また、面接場所は通常は破産管財人の所属する法律事務所(弁護士事務所)で行います。

管財人面接の内容

破産管財人との面接では、申立人(破産者)とその代理人の弁護士が破産管財人の法律事務所において破産管財人と面接をします。面接時間は事案によって大きく異なりますが30分から1時間ほどです(複雑な案件等でヒアリングすべき事項が多い場合は何時間もかかります)。

破産管財人は破産申立書を事前に読んで内容をある程度把握しているので、細かいことを全て聞くわけではなく、重要な点を中心に質問していきます。

質問されるポイント

  1. 借入の経緯(特にギャンブル、浪費等がある場合はその内容)
  2. 現在の財産について
  3. 過去財産を処分した場合はその内容や売却代金の使途について
  4. 債権者との関係(特に金融機関以外の個人の債権者がいる場合)
  5. 現在の収入や家計状況について

法律的、事務的な内容については代理人弁護士が回答しますが、それ以外の事実関係は基本的に破産者本人の口で説明することを求められます。

なお、管財人面接は基本的に1回だけ行いますが、追加で質問する必要がある場合等は2回目の面接を行うこともあります。

破産管財人からの宿題(追加資料の要請)

管財人面接の際に、破産管財人から破産者に対して後日の宿題として追加の資料提出を求められることがよくあります。追加資料の内容は事案に応じて様々ですが次の資料は提出を要請されることが多いです。

  1. 金通帳の写し(破産申立書に添付した通帳の最終記帳日以降の記帳部分)
  2. 家計簿(その月から債権者集会期日の前月分まで)
  3. 反省文

特に、浪費やギャンブル等の免責上問題がある案件では現在の家計状況や反省の程度を確認するために「家計簿」と「反省文」を求められることが良くあります。

破産管財人が自宅に来るのか?

破産管財人が自宅に来るかを気にする方は多いですが、多くのケースでは破産管財人が自宅に来ることはありません。しかし、不動産を所有している場合、自宅不動産を売却するため不動産の下見は必要であり、自営業者で自宅が店舗や事務所を兼ねている場合等では、店舗の什器備品や在庫等を確認する必要があるため、破産管財人が自宅に来ます。

ただ、実務上破産管財人が自宅に来ることはそれほど多くなく、多くのケースでは自宅に来ないで終了しています。

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