預金通帳を見たら「差押」と記載されて残高が0円になっていた、勤務先に給料を差し押さえるとの通知が裁判所から届いた等、突然に「債権差押命令」が特別送達されて驚いて債務整理の相談を受けることがよくあります。預金口座や給料の「差押」があった場合、すぐに債務整理を行う必要があります。
「債権差押命令」について、相談実績が豊富な町田・相模原の弁護士が説明します。
債権差押命令とは、債権者(銀行や消費者金融)が、債務者(お金を借りた人)に対して有する債務名義(判決、支払督促、公正証書等)に基づいて、債務者が第三債務者に対して有する債権(預貯金や給料)を差押え、これを取立てて自己の債権回収を図る強制執行の手続です。債権者の申立てがあると、裁判所はまず第三債務者に、次に債務者に対して債権差押命令を送達して差押があったことを伝えます。
>>債権差押命令のサンプル債権者 | 債権者とは、銀行、消費者金融、カード会社等のお金を貸した人のことであり、裁判所に債権差押の申立てを行った人です。 |
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債務者 | 債務者とは銀行等からお金を借りて返済できなくなった方です。差押を受ける人です。 |
第三債務者 | 債務者に金銭支払い義務等の債務を負っている人です。銀行(預金)や債務者の勤務先(給料)が代表的です。 |
債権差押命令の流れは次のとおりです。
債権者が裁判所に債権差押命令の申立を行います。申立は債務者の住所地を管轄する地方裁判所に行います。また、事前に裁判で判決、支払督促等(これを債務名義といいます)を得ている債権者だけが申立できます。
裁判所が申立書や添付書類をチェックして不備がなければ債権差押命令を債権者の申立てから数日以内に発令します。
債権差押命令が裁判所からまず第三債務者に送達されます。給料を差し押さえる場合は勤務先、預金を差し押さえる場合は銀行が第三債務者になります。
債権差押命令を受け取った第三債務者は、それ以降に債務者に債務を弁済することが禁止されます。つまり、会社(勤務先)は差し押さえられた金額の給料を債務者である従業員に支払うことができなくなり、銀行は差押分の預金引き出しに応じられなくなります。
債務者に対する債権差押命令の送達は、第三債務者に対する送達の1週間後に行います。これは債務者が差押えを知ってすぐに預金を引き出すのを防ぐためです。
債権者は債権差押命令の申立てとともに、第三債務者に対す陳述催告の申立てを通常行っており、裁判所は債権差押命令と同時に陳述催告というものを第三債務者に送ります。第三債務者は、差押の対象となった預金や給料の有無、金額、支払いに応じるか否か等の回答を陳述書に記載して裁判所に提出します。
裁判所は第三債務者及び債務者に対する送達日を記載した送達通知書を債権者に郵送します。また、裁判所は第三債務者から提出された陳述書も債権者に送付します。
送達通知書に記載されている債務者に対する送達日から1週間経過すると債権者は第三債務者から債権の取立てができます。但し、給料等を差し押さえる場合に取立ができるのは4週間経過後です(養育費、婚姻費用等に基づく差押の場合は例外的に1週間)。
給料(給与)を全額差し押さえられてしまうと生活ができなくなります。そのため給料の差押えの場合に差押できるのは、所得税、住民税等や社会保険料を控除した残額である「毎月の手取額の4分の1」までです(民事執行法152条1項2号)。
但し、手取り額が月額44万円を超えるときは、33万円を超えた部分の差押えが可能です。
(給与差押の具体例)
給与(手取額) | 差押額 | 差押後の支給額 |
---|---|---|
20万円 | 5万円 | 15万円 |
32万円 | 8万円 | 24万円 |
60万円 | 27万円 | 33万円 |
養育費や婚姻費用に基づく給料の差押の場合は、借金等の通常の債権と異なり「毎月の手取り額の2分の1」まで差押えができることになっています(平成16年4月1日からの制度です)
給料の差押えの途中に、賞与が支給される場合や、毎月の差押えの途中で債務者が退職して勤務先から退職金を支給する場合、賞与や退職金も差押の対象となります。
給料のように毎月継続的に支給される債権の差押は、1回で終わりではありません。原則として債権者の債権が完済されるまで、ずっと差押が続くことになります。
銀行の預金口座の差押の場合は給料の様に4分の1という制限はないので、その時口座に入っている預金残高全額が差押えられます(正確には差押債権額より口座残高が大きければ、差押債権額のみ差押です)。
給料日直後に預金口座の差押えがあった場合はどうなるのでしょう。
給料が振り込まれた預金口座のお金は給料なのだから差押えは4分の1にすべきと思うかもしれませんが、この場合も口座残高全額の差押となります。給料と債務者がもともと持っている一般財産が混ざってしまった以上は、両者を区別することが出来ないからです。
預金口座の差押えでは、銀行に対して債権差押命令が送達された日の口座残高が差押えの対象となります。その日に口座に入っていた預金は債務者が自由に出金することができなくなりますが(差押債権額を超える口座残高があったのなら、超える部分は出金できます)、後日口座に入金された現金は自由に引き出すことができます。
つまり預金口座の差押えは1回限りのもので、その後も自由に口座を利用することが可能です。
ただし、債権者が同じ口座の差押えをもう一度行う可能性はあります。
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